ご挨拶

東京都区西部医療圏の心臓血管治療の要として

荻窪病院心臓血管センターは年々増え続ける心臓、血管の疾患を有する患者さんのニーズに応えるべく2008年4月に誕生しました。循環器内科チームと心臓血管外科チームが緊密に連携し、時には救命救急チームや他科チームとも情報を共有しながら患者さんにとって最高、最善の医療を提供するために日夜活動しています。

取り扱う疾患は心臓病、血管病のほぼすべての領域に及んでいて循環器内科チームは主として診断検査とカテーテル治療を、心臓血管外科チームは手術治療を担当します。ある領域においては両チームが合同でカテーテル治療と手術を同時に行うハイブリッド治療を行っています。各領域のエキスパートが常勤しており、国内でもトップレベルの治療実績を誇っています。また複数の大学病院(慶応大、東京女子医大など)と連携して若手を受け入れており、チームの若返りを図るとともに次の世代が先輩の技術や知識をスムーズに引き継げるように“風通しの良い”環境づくりを心がけています。

心臓、血管といった循環器疾患の治療は“待ったなし”です。私たちはこれまで通り24時間フル稼働体制を維持しつつ、杉並区を中心とした東京都区西部医療圏における循環器疾患の拠点病院であるとの自覚を持ってこれからも地域医療に貢献してゆきます。

「一人でも多くの患者さんを救いたい」
「そのために治療依頼は絶対断らない」

この思いは開設から10年を経た現在も変わることなくチームの全員に受け継がれています。これからも皆様のご理解とご協力を賜りたく、何卒、宜しくお願い申し上げます。

澤 重治

心臓血管センター センター長
心臓血管外科部長

澤 重治

Sawa Shigeharu

チーム医療

心臓血管センターが扱う疾患の中には、急性心筋梗塞、大動脈解離、肺塞栓といった、命に係わる、待ったなしの救急疾患が数多くあります。また、待機的であったとしても、カテーテル治療、開胸、開腹手術ともに、命に係わる手技となりえます。治療の中には循環器内科のみで行えるものもあれば、心臓血管外科に全面的にお願いする、あるいは一緒に行う手術もあります。お互いの力量を知り尽くし、お互いを信頼していなければ、緊急性の高い、高度な技術を要する手術に随時対応していくのは困難です。
さらに、医師のみでは医療を行えません。看護師、臨床工学技士、臨床検査技師、放射線技師、薬剤師、栄養士、リハビリ技師等によるチーム医療が必要です。ここでも各自の経験、業務の標準化、互いの信頼が要求されます。心肺停止の患者さんを目の前にした際、各自がその緊急性を理解しモードを切り替え、しかし慌てることなく、淡々とやるべきことをこなしていく、そういったチームでありたいと思います。

高齢化社会

現在我々は超高齢化社会を迎えつつあります。高齢独居の方が心不全で入院。心不全治療は何とか終了したが、筋力低下でフレイルが進行。夜間せん妄もあり、転倒、骨折。立てなくなって長期リハビリ・・・起こり得る事例です。
高齢者が抱える疾患は多岐にわたることが多く、ご家族、ソーシャルワーカー、ケアマネージャーなど様々な方が患者さんに係わり、元の生活を目指すことが大切です。時には、自宅も治療可能な場所(病床の延長)として考え、医療従事者もどんどん地域に出ていくことを考えます。年間40兆円以上の医療費が計上されている現在、限られた医療資源を有効に使うため、患者さん、ご家族が医療に何を期待しているかを共有し、医療を行っていく必要があります。

2008年心臓血管センター設立後、10年経過した今

SDGs (Sustainable Development Goals)という言葉を耳にします。持続可能な開発目標という意味だそうです。我々の業務においても、外部・内部要因に左右されることなく、地域からの信頼を得ながら、優秀なスタッフとともに、当たり前のことを当たり前に、無理なく継続していくことが重要と考えます。常に率直に耳を傾け、至らない点は即座にあらため、変化しつつ、より強いセンターを目指します。

石井 康宏

荻窪病院 副院長
循環器内科部長

石井 康宏

Ishii Yasuhiro

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