胸部・腹部大動脈瘤

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腹部大動脈瘤

腹部大動脈瘤は一般的には30mm以上に拡張したものと定義される[1]。高齢の男性に多く、動脈硬化の終末像として説明されてきたが、近年動脈壁の慢性炎症により、大動脈壁の強度を維持する弾性線維や膠原線維の構造が乱れ、脆弱化し拡大するという理解が一般的となりつつある。この点において、動脈硬化が主な成因で発症する閉塞性動脈硬化症や虚血性心疾患などとは根本的な病態が異なると考えられている[2]

手術適応

大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン[3]では55mm以上の瘤径を手術適応としている。瘤径が大きくなるほど壁張力(WSSWall shear stress)が増加し、破裂する可能性が増し、拡張速度も動脈瘤径に影響され,著しく速く拡張する。また、女性においては小径での破裂例を認めるため、50mm以上での手術が推奨されている。拡張速度に関しては半年で5mm以上拡大するものや、腹痛、腰痛などの切迫破裂症状を認めるものも手術適応とされる。

当センターでの治療の特長

外科的治療には開腹人工血管置換術とステントグラフト内挿術(EVAREndovascular aortic repair)があり、両者の長期成績は同等と報告されている[4]。ガイドラインでは低リスクの腹部大動脈瘤は開腹人工血管置換術の適応であり、当センターでも第1選択としている。ただし、高齢者でfrailtyが高く、高リスクと考えられる症例においてはEVARを施行している。近年、EVARのデバイスも改良が重ねられ、現在は第2世代が登場しているため、今後適応拡大が生ずる可能性が考えられる。
過去の腹部大動脈瘤破裂症例30例の瘤径は最小45mm最大103mmを考慮し、瘤径45mm以下をopen surgeryの適応としている。またEVARは紡錘瘤の形態であれば瘤径40mm以上を手術適応としている。

実績

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参考文献

  • Suggested standards for reporting on arterial aneurysms. Subcommittee on Reporting Standards for Arterial Aneurysms, Ad Hoc Committee on Reporting Standards, Society for Vascular Surgery and North American Chapter, International Society for Cardiovascular Surgery. Johnston KW, Rutherford RB, Tilson MD, Shah DM, Hollier L, Stanley JC. J Vasc Surg. 1991 Mar;13(3):452-8
  • Translational Relevance and Recent Advances of Animal Models of Abdominal Aortic Aneurysm. Senemaud J, Caligiuri G, Etienne H, Delbosc S, Michel JB, Coscas R. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2017 Mar;37(3):401-410.
  • 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010年度合同研究班報告).大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2011年改訂版).http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2011_takamoto_h.pdf
  • Perioperative mortality of elective abdominal aortic aneurysm surgery. A clinical prediction rule based on literature and individual patient data.
    Steyerberg EW, Kievit J, de Mol Van Otterloo JC, van Bockel JH, Eijkemans MJ, Habbema JD. Arch Intern Med. 1995 Oct 9;155(18):1998-2004.
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